航空宇宙・防衛の中枢を担う光ファイバ技術

光ファイバシステムは、あらゆるミッションクリティカルな領域で、即時通信ならびに相互に高度連携された現代の航空宇宙・防衛インフラの要として機能しています。

航空宇宙・防衛の中枢を担う光ファイバ技術

想像してみてください。ステルス戦闘機の編隊が敵支配下の空域深くへ進入し、衛星中継を通じてリアルタイムの標的情報を受信しています。敵の防空システムがロックオンを試みる中、電子戦機がレーダーを妨害し、高速な光ファイバ通信ネットワークを介して味方のパイロットと連携しています。

一方、地上では、前線に展開した偵察部隊が荒れた地形を進行する装甲部隊を発見。そのセンサーデータは、光ファイバ対応ネットワークを通じて数マイル離れた指令所に数秒で転送され、AI駆動の戦場管理ソフトウェアが最適な反撃策を提示します。接続済みのミサイル基地は即座に標的座標を受信し、攻撃態勢に移行します。

海上では、紛争海域を巡回する駆逐艦がレーダーに未確認の接触を検知。艦の射撃管制システムは、近隣の航空機や衛星からのデータを即座に統合し、脅威の全体像を把握します。光ファイバ対応ネットワークにより、地域内の海軍戦力間で暗号化された高速通信が可能となり、状況の悪化を未然に防ぐための迅速な対応が可能になります。

これが、「相互接続された戦場(Interconnected Battlefield)」の姿です。流動的かつデータ主導の戦闘環境において、光ファイバ通信ネットワークは、リアルタイムの情報収集、標的設定、指揮・統制の中核を担います。戦闘機、潜水艦、自律型ドローンなど、あらゆるプラットフォームが、高帯域幅かつセキュアな通信に依存し、精密な作戦の遂行を実現しています。

かつては実用性に疑問があった光ファイバですが、過去40年間でその技術は飛躍的に進歩し、今日ではミッションクリティカルな通信ネットワークの中核を担っています。これらのネットワークを支えているのが、過酷な環境にも耐えうる光コネクタ、ケーブルアセンブリ、光コンタクトといったインターコネクト技術です。

光ファイバの誕生

光ファイバの誕生

光ファイバの概念そのものは新しくありません。実際、実用的な光ファイバシステムが登場したのは20世紀中頃から後半ですが、その原理は19世紀にまで遡ります。

1870年、アイルランドの物理学者ジョン・ティンダルが行った実験では、水流に沿って進む光が全反射(TIR)により誘導されることが示されました。これは、現代の光ファイバ通信の基本原理となっています。

1970年代以前、光ファイバは実験的段階にあり、医療用内視鏡や初期の軍事研究など、限られた用途にとどまっていました。当時の光ファイバは、減衰量が1,000dB/kmにも達し、長距離通信には到底使えない技術でした。

しかし1970年、Corning Inc.(当時のCorning Glass Works)が世界初の低損失光ファイバを開発し、減衰を20dB/kmにまで低減。これにより、光ファイバは長距離通信の現実的なソリューションとなり、軍事分野でもISR(情報・監視・偵察)や電子戦、アビオニクス、指揮統制ネットワークへの採用が急速に進みました。

現代のミッションクリティカルなシステム

現代のミッションクリティカルなシステム

光ファイバ技術の進歩は、航空宇宙・防衛分野におけるテクノロジーを飛躍的に向上させました。現代のミッションクリティカルなシステムの基盤には、低損失かつ高速な通信を可能にする光ファイバシステムが組み込まれており、複数領域間にわたるリアルタイムのデータ共有を実現しています。

高速光ファイバの実用化と普及を受け、アメリカ国防総省(DoD)は、陸上および海上の通信ネットワークへの光ファイバ統合を開始しました。光ファイバは、従来の銅線ベースのシステムに比べて高速なだけでなく、光信号による伝送により電磁干渉(EMI)にも強いという利点があります。現在では、光ファイバはC6ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・サイバー・情報・監視・偵察)プラットフォームの中核を成しており、空・陸・海・宇宙・サイバーといったあらゆる領域でリアルタイムな連携を可能にしています。

このような先進的な光ファイバシステムの実現において、アンフェノールは重要な役割を果たしています。たとえば、TFOCA(Tactical Fiber Optic Cable Assembly)は、MIL-PRF-83526規格に準拠し、過酷な戦場環境でも安定した接続を提供する多チャネル対応の光コネクタです。本製品は、1999年にアメリカ陸軍通信電子司令部(CECOM)との共同開発により誕生しました。

では、こうしたシステムにおける光ファイバの具体的な活用例とはどのようなものでしょうか。代表的な例の一つが、米軍の分散共通地上システム(DCGS:Distributed Common Ground System)です。DCGSは、光ファイバをシステムアーキテクチャの中核に据えた高度な情報収集・分析システムであり、現代の多領域作戦を支えるインフラの要となっています。

現代のミッションクリティカルなシステムを支える

米軍は、グローバルホークやMQ-9リーパー無人航空機(UAV)、衛星、地上レーダー基地、海洋監視システムなど、多様な情報収集ネットワークを有しています。DCGSは、これらのISR資産によって取得された情報をリアルタイムで統合・配信し、指揮官やオペレーターによる迅速かつ的確な意思決定を支援するとともに、各ドメイン間の情報共有を可能にするシステムです。

DCGSは、フルモーションビデオ(FMV)、信号情報(SIGINT)、電子情報(ELINT)などを、各種プラットフォームから遠隔の指令センターへ送信し、軍の情報担当者がそれらを分析・処理。その結果を上層部や関連部隊に即時に伝達します。もし光ファイバインフラがなければ、ハイパースペクトル画像や合成開口レーダー(SAR)といった高度なISR機能は、通信の遅延や帯域制限によってその能力を発揮できません。DCGS内部では、光ファイバが分散アーキテクチャとして配置されており、陸上・海底の光ファイバネットワークを通じて、前線のセンサーノード、地上局、指令所が、空・陸・海・宇宙・サイバーといった複数ドメイン間で緊密に接続されています。

TFOCAシリーズ

アンフェノールのTFOCAシリーズは、MIL-PRF-83526準拠の多チャネルの光ファイバコネクタで、雌雄同形状の頑強な設計を特長としています。これにより、複数のケーブルアセンブリを簡易に連結でき、フィールドでの迅速な運用を可能にします。TFOCA-II®やTFOCA-III®といったモデルでは、光学性能の強化、対応ファイバ数の増加、シーリング技術の改良によって、より厳しい環境条件に対応する性能が付加されています。

たとえば、ある標的に対するスマート兵器の使用判断が、DCGSによって統合された情報を基に下される場面が想定されます。これらの兵器には、精密誘導や標的設定のために光ファイバジャイロスコープ(FOG)が搭載されている場合があります。標的がレーダーシステムである場合には、光ファイバで接続された電子戦システムが、サイバー能力を活用してジャミングや無力化を行うことも可能です。さらなる情報が必要な場合には、光ファイバアビオニクスを備えたリーパーUAVが追加偵察任務に投入されることも考えられます。

このように、光ファイバはミッションクリティカルな現代の戦闘プラットフォームに深く統合されており、その役割は今後さらに拡大していくと考えられます。特に、AIや機械学習機能の統合が進むDCGSのようなシステムにおいては、それらの処理を支える広帯域かつ高速な通信が不可欠であり、光ファイバの重要性はますます高まっています。

航空宇宙・防衛の未来の通信基盤を築くにあたり、その信頼性はインターコネクトシステムの耐久性と性能にかかっています。まさにその要件に応えるのが、アンフェノールの光ファイバインターコネクト技術なのです。

「相互接続された戦場(Interconnected Battlefield)」

「相互接続された戦場(Interconnected Battlefield)」

アンフェノールは、過酷な環境下において運用される航空宇宙・防衛用途向けに、ミッションクリティカルな通信を支える高信頼・高性能な光ファイバインターコネクトソリューションを提供しています。シングルモードおよびマルチモードの両タイプに対応しており、設計から製造、検証まで一貫した対応が可能です。

CF38999 – 多芯光ファイバ 丸型コネクタ

CF38999 – 多芯光ファイバ 丸型コネクタ

CF38999は、過酷な環境向けの光ファイバ丸型コネクタとして業界標準となっています。MIL-DTL-38999シリーズIII規格に準拠し、光コンタクトを内蔵しています。嵌合時に光コンタクトが物理的に損傷しにくいスクーププルーフ構造を採用しており、加えて軽量設計でありながら、振動や衝撃に耐える堅牢性を兼ね備えています。ステンレススチールやニッケル下地にカドミウムめっきが施されており、優れたEMI(電磁干渉)シールド性能と耐腐食性を備えています。

MTC-HD – 高密度MTフェルール内蔵の光コネクタ

MTC-HD – 高密度MTフェルール内蔵の光コネクタ

MTC-HDは、高密度MTフェルールを内蔵したコンパクト設計の光コネクタです。6種類のインサートに格納でき、最大72芯の光ファイバをサポートしますので、限られたスペースでの大容量データ通信に最適です。VITA 89規格に準拠しており、物理接触(PC)方式および拡大ビーム方式(Expanded Beam)の2種類を選択可能です。また、シングルモードおよびマルチモードの両方に対応しています。

最大シェルサイズにおいては、1チャネルあたり25Gbpsの通信速度を実現し、最大10.8Tbpsという驚異的なスループットをサポートします。高密度・高帯域・高信頼性を求められる航空宇宙・防衛の次世代通信インフラに最適です。

光コンタクト

光コンタクト

アンフェノールは、高信頼で、高性能な光コンタクトを豊富に取り揃えています。MIL-PRF-29504スタイル、HD20、JSFC、ARINC 801、MTフェルールなどを提供しています。

TACBeam® – 拡大ビーム(Expanded Beam)コネクタ

TACBeam® – 拡大ビーム(Expanded Beam)コネクタ

拡大ビーム(Expanded Beam)は、精密なレンズを用いて光信号をコリメート(平行化)および再集束する光ファイバ技術です。これにより、ファイバ同士が直接接触することがなくなり、耐久性が向上し、汚れへの耐性が強化され、繰り返しの接続でも摩耗が抑えられるという利点があります。

アンフェノールは、この拡大ビーム技術をTACBeam®に採用しています。TACBeam®は、MIL-DTL-83526/20および/21に準拠した高耐久性コネクタで、シングルモードおよびマルチモードに対応しています。また、雌雄同形状の設計を採用しており、複数のケーブルアセンブリを簡単に連結できるため、デイジーチェーンによる長距離接続が可能です。

アンフェノールの包括的な光コネクタの詳細は、弊社HPをご参照ください。