カドミウム代替RoHS適合表面処理 DURMALON

カドミウム代替RoHS適合表面処理 DURMALON

カドミウム

カドミウムは、その優れた機能性から、長きにわたり陸海空のあらゆる兵器システムに用いられて来ました。鋼などの金属腐食に対し優れた耐性を与えるだけでなく、ねじ部に対する優れた潤滑性も与えます。また電解めっき材料として広く使われており、様々な金属材料や複雑な形状の部品への表面処理が容易に行えるという利点があります。

しかしながら、カドミウムは健康に対する有害性物質を含んでいることが知られています。またカドミウムめっきは、シアン化合物を含む薬液を必要とします。近年、このような理由からその依存度を減らしたり、全廃する傾向にあります。

アンフェノール DURMALON

ODカドミウムめっき(クラスW)は、航空宇宙防衛用途で広く一般的に用いられています。クラスWは、塩水を500hr継続的に噴霧しながら、嵌合したシェル間の電圧降下を2.5mV以下に保ちつつ、500回の嵌合離脱サイクルを保証します。
アンフェノールは、14種類に及ぶカドミウム代替候補材を選定し、各種試験を実施し、最も高く安定した性能を発揮したニッケル-PTFE材をDURMALONとしてリリースいたしました。

DURMALONは、クラスWの要求を100%クリアーします。更に以下テストもクリアーしました。

  • SO2ガス腐食テスト(F-35 JSFプログラム要求項)
  • ギ酸カリウム(除氷液)テスト(Boeing社要求項)

MIL-DTL-38999 rev.Lには、以下の3つのカドミウム代替表面処理が追加され、DURMALONの原材料であるニッケル-PTFEも含まれています。

  • ニッケル-PTFE
  • 電着アルミ
  • ニッケル-亜鉛

DURMALONは、他の金属と同じく、標準電極電位差の大きな金属と長時間接触すると電解腐食が発生するため、DURMALON同士の嵌合を推奨します。
相手側コネクタの表面処理がDURMALONでない場合には注意が必要です。
ODカドミウムめっきとは電位差が大きく、電解腐食の危険性があるため使用は避けてください。

RoHS

EU指令(2002/95/EC)、いわゆるRoHS指令は、ODカドミウムめっき材料であるカドミウムと6価クロムを規制対象物質に定めているため、RoHS指令を適用する場合、ODカドミウムめっきは使用できません。

ニッケルめっき(クラスL)の耐腐食性能はODカドミウムめっきに大きく劣り、塩水噴霧性能は48hと規定されています。

DURMALONはODカドミウムめっきと同じ腐食性能を維持しながら、RoHS指令に適合いたします。

用途

米国では既にDURMALON仕様のコネクタをお使い頂いております。ロッキードマーチン社はテストの結果、F-35 JSFプログラムにDURMALONめっきの採用を決定致しました。
DURMALONはシェルの表面処理材料ですので、あらゆるコネクタシリーズにご利用頂けます。

塩水噴霧500hrクリアーが必須条件の航空宇宙防衛用途においても、今後RoHS適合部品使用の動きは広まると予想されます。アンフェノールはこの要求に対し、自信を持ってDURMALONを推奨いたします。