MIL規格コネクタのまめガイド
生い立ち
MIL規格、即ち米軍用規格のコネクタは、米軍の航空機に搭載される電子機器接続用として発展してきた歴史があります。航空機に使われるコネクタは、使用環境の厳しさに加えて少しの不具合が大事故に繋がりかねないことから、要求される信頼性のレベルが民生用途とはかなり異なります。丸型コネクタでは、MIL-C-5015から始まり時代の変遷とともに航空機の性能が上がるにつれて、MIL-DTL-26482シリーズ1,2 そして、MIL-DTL-38999シリーズI,II,III という規格が制定されました。
MIL規格コネクタの特長
電気的、機械的に接続するという点では一般民生向けのコネクタと同じですが、何より信頼性、堅牢性、耐久性が求められます。多くのMIL規格コネクタに共通する特長は、
- コンタクト(接触端子)は、導電性に優れた銅合金の丸棒を削り出して精密加工
- ソケットコンタクトは、クローズドエントリー構造でこじりに強い
- コンタクトのめっきは、腐食と耐久性に強い金めっきが標準
- インサート(絶縁体)は、振動や衝撃がコンタクトに直接伝わりにくいゴム製を採用
- インサート配列が極めて豊富で、信号、電源、同軸、光ファイバの組合せ配列の種類が多い
- シェルは、踏みつけても壊れない頑丈で堅牢なアルミニウム合金製
- 適切なアダプタを付ける事でIP67の防水性をクリア
- 半田タイプは勿論、圧着タイプでも単体防水型になるようにグロメットシールを付与
- 誤嵌合を防止するためにキー位置を指定できる
があります。このように、民生用途を想定したコネクタとは、作りそのものが異なります。
MIL規格コネクタの転用
MIL規格コネクタは、産業機器用途で次のような要求が二つ以上あるときに極めて有用です。
- 振動や衝撃による断線や瞬断を避けたい
- 結露や高湿度によるショートを避けたい
- 信号と電源の配線を一つのコネクタにまとめたい
- 多芯高密度(最大128芯)で省スペースを図りたい
- 多少落としたりぶつけても壊れない頑丈なものが欲しい
- メンテナンスができない場所で使うので高い信頼性が欲しい
これらの要求をいずれか一つ満たす民生用コネクタは多々ありますが、二つ以上もしくは全てを同時に満たすコネクタはなかなかありません。 MIL規格丸型コネクタの、MIL5015、MIL-DTL-26482、MIL-DTL-38999シリーズは、産業用ロボット、建設機械、半導体設備、プラント、発電所、鉄道などの大量輸送車両、計測機器、屋外通信機器、宇宙機器用途などに幅広く使用されています。
弊社は、MIL5015、MIL-DTL-26482、MIL-DTL-38999規格について防衛省認定ならびに米国防省のQPLを取得して、国内生産体制を整えております。航空宇宙・防衛用途は勿論のこと、信頼性を要求される産業機器用途にも、ぜひ弊社のMIL規格コネクタをご検討下さい。
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