光ファイバーコネクタの特長と使い方
光ファイバーとは
近年のデジタルマルチメディア化により、大容量のデジタルデータ信号を高速かつ長距離伝送できる光ファイバーの利用が益々増えています。従来の同軸ケーブルやペア線ケーブルといった銅を媒体とする電気信号伝送では、高周波帯域での損失が大きい為、長距離伝送には限界があります。光を媒体とする光伝送技術を用いることにより、広帯域、すなわち大容量のデータを低損失で送信することができる為、高速長距離伝送が可能になります。
光ファイバーは、光を搬送するコアと光が外に漏れ出さないようにコアの周囲を覆ったクラッドの2層で構成されます。コア及びクラッドは用途に応じて材料を使い分けますが、石英ガラスやプラスチックなどが一般的です。100/140光ファイバーとは、コア外径が100μm,クラッド外径が140μmと言う意味です。
光のモード(経路)にはシングルとマルチの2種類があり、用途に応じて使い分けます。シングルモードとは、光が1つの経路で、コア内をまっすぐに、分散することなく伝搬する方法のことで、高速長距離大容量伝送を特長とし、主に都市間の長距離通信やインターネットの基幹ネットワークに用いられます。コア材料には石英ガラスが使われ、コア径10μm以下と非常に細く、強度的にシビアな加工技術を要します。
それに対して、マルチモードは、光が複数の経路でコア内で全反射を繰り返しながら伝搬する方法のことで、モードによって到達時間に差が出る為、シングルモードほどの長距離伝送には向きません。主にLAN(Ethernet1000BASE-SXや1000BASE-LX)などの内部通信に用いられます。コア材料には石英ガラスだけでなく、プラスチックも使用でき、コア径は50μm以上のため曲げに強く加工性が高いのが特徴です。
光ファイバーの長所は
光ファイバー伝送の際立った主な長所は、大容量伝送・低損失・高EMI性能・軽量の4つです。
- (1) 大容量伝送
- 情報伝送容量は、伝送媒体の帯域とレーザーの周波数によって決まります。いずれもTHz(1T(テラ)Hz=1000GHz)レベルの周波数帯域のため、電気信号伝送に比べ遥かに大容量のデータを伝送できます。
- (2) 低損失
- メタルケーブルの場合、MHz領域から損失が大きくなりますが、光ファイバーの場合、MHz領域ではかなり低い値で安定しています。
- (3) 高EMI性能
- 光ファイバーは光が媒体であるため、電磁放射することがない上に、もちろん電磁放射の影響を受けることもありません。従って、信号がEMIによって乱れることはなく、エラーなく信号を伝送できます。
- (4) 軽量
- ガラス繊維の重量が銅に比べはるかに軽く、1芯の光ファイバーケーブルの重量は同軸ケーブルの約1/9です。
光ファイバーを接続するには
光ファイバーの接続にはもちろんコネクタを必要とします。コネクタに内蔵された光ファイバー専用コンタクトに光ファイバを接続し、専用コンタクト同士が嵌合することにより、光ファイバーが接続されます。光ファイバーの接続は電気信号用金属ケーブルの接続よりも高度な技術を必要とします。コネクタの軸方向のアライメント精度に問題があると、ファイバー相互の中心軸が不一致となり損失が発生します。コア径の小さいファイバーほど、ズレの許容範囲も小さくなります。また接続したコンタクトが完全接触せずエアギャップがあると、そこで光は鈍ってしまい、損失が発生します。そのためにはコンタクト表面は平滑に研磨されなければなりません。
Amphenol光ファイバコネクタの特長
TerminiコンタクトはAmphenolの光ファイバコネクタに使用できる専用コンタクトです。Termini-Pinとアライメントスリーブ付きTermini-Socketの先端面同士が接触することにより接続します。100/140マルチモード光ファイバーを使用した場合の挿入損失は0.5dB~1.0dB(820nm)です。セラミック製のアライメントスリーブの使用により、より高精度なアライメントを実現します。
光ファイバーとコンタクトは、コンタクト先端のセラミックフェルール中央部に設けられた小さな貫通口に光ファイバーを通し、エポキシ樹脂硬化後、高精密研磨仕上げすることにより結線します。62.5μmコア以外にも、様々な外径の光ファイバーに対応できるようセラミックフェルールの貫通口サイズもバラエティ豊富です。マルチモード用Terminiには#16と#20の2種類を、シングルモード用Terminiには#16を用意しました。またマルチモード用Terminiにはライトアングルタイプ(90°)もございます。
また民生用MTフェルール(ファイバー径:125μm,12芯)をAmphenolコネクタに組み込むことも可能です。
どのようなコネクタに使用できるのか?
丸型コネクタとしては、MIL-DTL-38999シリーズIIIに光ファイバーコンタクト(Termini及びMTフェルール)を組み込んでお使いいただくことができます。シェル材質及びめっき仕様を、通常電線を使用する際と全く同様にお選びいただくことができますので、様々な環境にてご使用いただけます。またタイトトレランス仕様のシェルを使用することで、嵌合のアライメント精度が向上でき、低損失接続を可能にします。
角型コネクタとしては、PCB基板実装用のB3コネクタやLRMコネクタに組み込むことができます。すべてお客様の要望に応じてシェルやインサートをカスタム製作いたしますので、自由に光ファイバーコンタクトとブラシコンタクトをハイブリドいただけます。