雷サージの脅威から、航空機の電子機器を保護するために
アンフェノールは、サージ保護機能を備えた耐雷コネクタを豊富に取り揃えております。
以下に、耐雷コネクタの特長をご紹介します。
はじめに
航空機の電動化に伴い、機体重量を大幅に削減する必要性が高まっています。既に多くの商業および防衛航空機の大部分に高機能コンポジット材料が採用されていますが、電動化がさらなる重量削減を加速することになります。しかしながら、コンポジットは、金属よりも多くの利点があるものの金属に匹敵するシールド特性を有する材料は開発されていません。これは、航空機内の電子機器が今まで以上に過渡電圧に対して脆弱になることを意味します。
その対策として、突発的な過渡電圧サージを抑制する、TVS(Transient Voltage Suppressor)デバイスが一般的に好まれる選択肢となっています。アンフェノールは、何十年にもわたり、TVSデバイスを航空宇宙用コネクタに実装してきた経験があり、お客様の電子機器の損傷リスクを軽減しながら、コスト、重量、設計時間の削減に貢献してきました。
製品概要
アンフェノールは、ノイズ除去のフィルターコネクタにくわえて、直撃雷、誘導雷などの脅威からデバイスを保護する、サージ保護コネクタを提供しています。MIL規格コネクタの耐環境性能にサージ保護機能を付加しており、航空機用途に必要な全ての要件を満たしています。サージ保護コネクタだけで設計することも、ノイズフィルターとサージ保護機能を内包することもできます。これにより、重量とスペースの節約を最適化するだけでなく、サージ保護やフィルタリングを行う下流回路を追加で必要としないため、信頼性が格段に向上します。
コネクタ構造
サージ保護コネクタは、様々なMIL規格をベースにして設計可能です。同じMIL規格準拠コネクタであれば相互嵌合を保証しながら、殆どの試験要求にミートします。過渡保護は、電圧スパイクをクランプする受動部品を利用することによって達成しており、MOV(メタル酸化バリスタ)とTVS(過電圧抑制)ダイオードの2種類の部品を提供しています。
それぞれの利点は以下の通りです。
MOV(メタル酸化バリスタ) Vs. TVS(過電圧抑制)ダイオード
サージ保護コネクタは、主にMOVまたは基板実装型TVSダイオードの技術が利用されています。どちらも、同等の電気的要件を満たすように設計されています。MOVは、金属酸化物から成るセラミック材を二つの金属電極板の間に設置することで、過電圧の発生を抑制します。一方、基板実装型TVSダイオードは、セラミック基板に、標準の半導体ダイオードが実装されています。
両者ともに、ナノ秒の過渡クランプ応答時間を提供することで、高信頼のサージ保護を可能にします。
下表より、両者の比較をご覧いただけます。
MOV | TVSダイオード | |
---|---|---|
エネルギー抑制 | ◎ | 〇 |
クランプ電圧 | ◎ | 〇 |
極性 | 両極性のみ | 単極性および両極性 |
静電容量 | 1nF~4nF | 100pF~4nF |
スタンドオフ電圧 | 中電圧~高電圧 | 低電圧~中電圧 |
リーク電流 | ◎ | 〇 |
スクリーニング | 限定的に対応可能 | 広範囲で対応可能(TX/TXV/S) |
コンタクトサイズ | 16, 20, 22 | 20, 22 |
価格 | 〇 | ◎ |
対応可能な規格
サージ保護コネクタは、以下のMIL規格に準拠して製造できます。
MIL-DTL-5015
MIL-DTL-26482
MIL-DTL-26500
MIL-DTL-27599
MIL-DTL-38999
MIL-DTL-83723
サージ保護機能はプラグ、レセプタクル、またはアダプタに組込むことができます。サージ保護アダプタは、既設のシステムに過電圧保護もしくはフィルター機能を容易に付加することができる、効率的かつコストパフォーマンスの高い製品です。
規格と試験
アンフェノールのサージ保護コネクタは、RTCA-DO-160GおよびMIL-STD-461Gで規定されている、雷撃による過電圧保護の要求事項を満たすことができます。業界トップレベルの品質および試験要求に対応しており、お客様の要件や脅威環境に応じて最適な過電圧保護を提案します。すべてのTVSダイオードは、MIL-S-19500TX/TXVの要求事項に準拠して製造されています。